自動運転車の話の続きです。
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http://diamond.jp/articles/-/74889
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昨年になりますが、アウディがサーキットをタイムアタックできる自動運転車を発表しました。

自動運転vs人間、アウディRS7でサーキット対決の結果は?
これはもう衝撃的です。
とうとうこの時が来てしまったか。
サーキットという聖域まで自動運転車に侵食して欲しくなかった。
そう思ったモータースポーツファンの方も多くおられた事でしょう。
ウチの啓太なんて、
「どうせコンピュータのほうが僕よりも速いんですよね・・・。」
って早速ダークサイドに落ち込んでいました。
僕も最初は「ヤヴァイ!」そう思いました。
けれどもけれども、よ~く考えてみましょうよ。
例えば、こんな話。
チェスの王者とか、将棋の名人がスパコンと対決してるのがたまにニュースになりますよね。
あれって、最近はちょっと人類は分が悪いみたいですが、勝ったり負けたりの繰り返しで、まだまだ人類の頭脳も捨てたもんじゃない。
しかも、チェスや将棋って、一手一手の間に時間制限があるみたいですが、それなりに演算に費やす時間は確保されています。ルールもしっかり決まっていて、コマの進路も決まりの中でしか動けない。
しかし、レースとなるとどうでしょう?
30台のレーシングカーがシグナルグリーンと同時に少しでも出し抜こうとカオス状態で1コーナーに飛び込んで行きます。
この様な状況を分析して次に起こるアクションを予測、リスク計算してアウトプット、を極めて短時間に繰り返さないといけません。
この処理はまだコンピュータには荷が重い。
さらに、レースが進行するにしたがって、路面にオイル出てきたとか、タイヤがタレてきたとか、アライメントが狂ってきたとか、ギヤの入りが渋いとか、どんどん状況は変化していきます。
しかもその状況の変化は、センサーの類で定量的に評価するのが極めて難しい。
音とか、振動とか、ドライバーは知らないウチに様々なセンサーを駆使して変化に対応しています。
(たまに変化に気付かずにぶっ壊れるまで走るドライバーもいますが・・・)
けっこうレーシングドライバーって凄いことをやってるんですよ。
そんな理由から、今の自動運転の技術&コンピュータの演算能力じゃあレースは無理無理、人間ナメンナヨって思っています。
20年先ならあり得ますけど、10年は無理じゃないかなぁ。
しばらくは、世界最高の技術を持ったレーシングドライバーが競い合うレースを楽しめるハズです。
Formula eと同時開催される(予定)の自動運転車レース、どの程度出来るのか?
見せて貰いましょうよ。

今秋開幕の AI 自動運転カーレース『ロボレース』用マシン公開。映画『オブリビオン』などのヴィークルデザイナーが製作
さらに付け加えると、
公道に自動運転車が普及すればするほど、公道で人間が運転する事を制限する方向に社会が進むはずです。
レースと違って、公道上で人間が運転する事は社会にとって不規則に発生するリスクだからです。
そう仮定すると、サーキット場というのは、自動車という倍力装置の能力を心置きなく発露できる、極めて限られた天国みたいな場所になります。
1馬力に満たない人間にとって200馬力、300馬力の機械を支配して操るのは、とんでもない麻薬的な魅力があります。一度味わったらやめられません。
そう考えると、まだまだアマチュアモーターレーシングも未来が有ります。
僕はそんな風に楽観的に捉えています。
と、書いたうえで僕は、
「F1ドライバーよりも速い自動運転のレーシングカーを作ってみたい」
とか考えてたりもします。(笑)
フヂイ エンヂニアリング